万 人 坑 を 知 る 旅 2019

主管:青木 茂  協力:舟橋精一  

中国に現存する万人坑と中国人強制連行・強制労働


 主に一五年戦争期の日本による中国侵略で犠牲になった中国人の遺体(遺骨)がまとめて埋められている(捨てられている)「人捨て場」が、東北(かつての「満州国」)から南洋の海南島にまで至る広大な中国の各地に、二一世紀の今も数えきれないほど現存しています。その「人捨て場」を中国の人々は「万人坑」(まんにんこう)と呼んでいますが、埋められた犠牲者の数が文字通り万人の単位(五桁!)にもなる巨大な万人坑も数多く残されています。
 これらの万人坑に埋められた膨大な数になる犠牲者の多くは、炭鉱や鉄鉱などの鉱山や軍事基地やダムなどの建設工事現場などに連行されて強制労働させられ、主に過労と飢えにより衰弱死(過労死)させられた中国人であり、主要な「犯人」(加害者)は日本の民間営利企業です。
 ところで、中国人強制連行というと、中国から連行された約四万人の中国人が花岡鉱山鹿島事業所など一三五カ所の事業所で強制労働させられ約七〇〇〇人が死亡した日本国内への強制連行については日本でも比較的良く知られています。しかし、中国本土(大陸)における強制連行・強制労働については、その被害規模が日本国内への強制連行と比べても桁違いに大きいのに日本ではほとんど知られていません。
 そこで、中国本土における強制連行・強制労働について簡単に見ておくと、例えば、中国東北に日本が「建国」した傀儡国家「満州国」では、一九三四年から一九四五年までに労工として徴用され、鉱山などそれぞれの現場(事業所)に送り込まれ強制労働させられた中国人は一六四〇万人にもなります。そのうち、割り当てや強制連行により「満州国」内で徴用された被害者が八五〇万人、華北など中国各地から「満州国」に強制連行されてきた被害者が七九〇万人です。
 また、万里の長城を「国境」とし「満州国」の南側に隣接する華北は、アジア太平洋戦争の「戦力の培養補給」の基地、つまり食料・資源・労働力などの供給地として位置付けられ、一九三七年から一九四五年の間に華北で強制労働させられた中国人は二〇〇〇万人以上にもなります。それ以外に、華北から華北以外の地へ労工として強制連行された中国人が一〇〇〇万人も存在します。その内訳は、「満州国」へ七八〇万人余、蒙疆へ三二万人余、華中へ約六万人、さらに日本本土へ三万五七七八人、朝鮮へ一八一五人などです。
 各地の事業所に連行された中国人労工は、まともな食事も与えられないまま長時間の過酷な労働を強制され、屈強な若者でも飢えと過労によりすぐに痩せ衰え、多くが過労死(衰弱死)します。さらに、病気や事故や虐待なども重なり膨大な数の労工が犠牲になりました。「満州国」では、強制労働させられた中国人被害者の八割とか九割が死亡する現場(事業所)が数多く存在していたことが確認されています。そして、膨大な数の犠牲者の遺体は、事業所近くの山間地など人目につかない場所にまとめて捨てられ、「人捨て場」としての万人坑が形成されました。


日本は中国で何をしたのか?
万人坑から見えるもの


 このような「人捨て場」としての万人坑は二一世紀の今も中国のいたるところに現存していますが、万人坑の現場を万人坑だと意識して初めて私が訪ねたのは内蒙古自治区ホロンバイル盟ハイラル市(当時)にある沙山万人坑で、二〇〇〇年五月のことです。沙山の乾ききった沙漠に放置されたままになっている厖大な犠牲者の遺骨が、猛烈な寒風に吹きさらされている情景を今も忘れることはありません。ハイラル・沙山の惨状は私の脳裏に強烈な擦痕を残しました。
 それから二〇一八年までの一九年間に四二カ所の万人坑を訪ね、強制労働現場を実際に確認してきました。そして分かったことの一つは、埋められた犠牲者の人数が多くの万人坑のそれぞれで文字通り万人の単位になることです。もう一つ分かったことは、前段にも記したように、営利(金儲け)を目的とする日本の民間企業が経営する鉱山や土建工事現場における過酷な強制労働が大量の犠牲者を生み、「人捨て場」である万人坑を形成する主要な原因になっていることです。
 「万人坑を知る旅」ホームページでは、これまでの訪中で確認したことを、できるだけ分かりやすくお伝えしたいと思います。そして、このホームページを通して、日本が中国に残した加害事実としての万人坑と中国人強制連行・強制労働について多くの人に理解してもらうことができれば嬉しいことです。併せて、中国やアジア各国に対しかつて日本が行なったことについて考えていただくきっかけになれば幸いです。



万人坑発掘現場/大石橋マグネサイト鉱山万人坑




中国の万人坑の分布図
 2000年から2018年までの19年間に現地で確認した42カ所の万人坑の位置を下記の中国地図に表示しています。そのうち、東北(「満州国」)の万人坑は緑枠で、華北の万人坑は黄枠で、華中・華東の万人坑は青枠で、華南の万人坑は赤枠でそれぞれ名称を記載しています。また、万人坑の名称に付記した数字は、それぞれの万人坑が形成された原因を示しています。そのうち、1から14までは日本軍による虐殺、15と16は強制収容所における虐待や強制労働、17から23までは土建工事における強制労働、24から42までは炭鉱など鉱山における強制労働が万人坑形成の原因であることを示しています。
 それで、地図の下に並んでいる万人坑の名称を選択(クリック)すると、それぞれの万人坑の説明と写真を見ることができます。まずは、興味・関心がある万人坑を選択し、その実態を確認してみてください。
(注:誤解のないように念押しですが、地図に記している42カ所の万人坑は、当ホームページの担当者が現地で実際に確認した万人坑だけです。これ以外に、数えきれないほどたくさんの万人坑が中国各地に存在しています。万人坑は42カ所しかないなどと誤解しないようにしてください。)


中国の万人坑の配置地図(画像クリックで拡大)

「 満 州 国 」 の 万 人 坑
 内蒙古自治区 ハイラル要塞万人坑
 黒龍江省   鶴崗炭鉱万人坑  鶏西炭鉱万人坑  東寧要塞万人坑
 吉林省    豊満ダム万人坑  遼源炭鉱万人坑  石人血泪山万人坑
 遼寧省    北票炭鉱万人坑  阜新炭鉱万人坑  本渓炭鉱鉄鉱万人坑  弓長嶺鉄鉱万人坑
        大石橋マグネサイト鉱山万人坑  大石橋マグネサイト鉱山万人坑(2)
        金州龍王廟万人坑  新賓北山万人坑  撫順炭鉱万人坑  旅順万忠墓
        阜新炭鉱万人坑(2)  北票炭鉱万人坑(2)  平頂山惨案
 河北省(旧熱河省) 承徳水泉溝万人坑

華 北 の 万 人 坑
 河北省    宣化龍煙鉄鉱万人坑  潘家峪惨案  石家庄強制収容所  井陉炭鉱万人坑
 山西省    大同炭鉱万人坑  ★New!! 大同炭鉱万人坑(2)
 天津市    塘沽強制収容所

華 中 ・ 華 東 の 万 人 坑
 安徽省    淮南炭鉱万人坑
 江蘇省    南京江東門万人坑  南京上新河万人坑  南京普徳寺万人坑
 上海市    銭家草惨案

華 南 の 万 人 坑
 湖南省    廠窖惨案(廠窖大虐殺)
 海南省    八所港万人坑  石碌鉄鉱万人坑  田独鉱山万人坑  陵水后石村万人坑
        南丁(朝鮮村)千人坑  月塘村「三・二一惨案」  北岸郷「五百人碑」


付 録 : 朝 鮮 を 知 る 旅
        朝鮮の人たちの日常 2014年



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御 案 内
「中国人強制連行・強制労働と万人坑」の学習会をしませんか!

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 それで、謝礼などは一切不要ですが、資料の印刷と担当者の会場までの交通費実費だけは、依頼される方で負担してくださいね。
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最新刊:二〇一九年八月一〇日発行

華南と華中の万人坑
― 中国人強制連行・強制労働を知る旅 ―

著者:青木茂
発行:花伝社 / 発売:共栄書房
定価:本体一七〇〇円+税

 新著『華南と華中の万人坑 ― 中国人強制連行・強制労働を知る旅』を二〇一九年八月一〇日付で花伝社から出版しました。この新著では、中国の華南と華中に現存する万人坑と、その背後にある中国人強制連行・強制労働の惨状などをルポの形式で紹介しています。以下に、新著の「まえがき」を引用し、内容紹介とします。

中国本土における中国人強制連行・強制労働
 主に一五年戦争期の日本による中国侵略で犠牲になった中国人の遺体がまとめて埋められた(捨てられた)「人捨て場」が、中国各地のいたる所に二一世紀の今も数えきれないほど現存している。その「人捨て場」を中国の人々は万人坑(まんにんこう)と呼んでいるが、埋められた犠牲者の数が実際に万人の単位(五桁!)になる巨大な万人坑も数多く残されている。
 これらの万人坑に埋められた膨大な数になる犠牲者の多くは、炭鉱や鉄鉱などの鉱山や軍事要塞や巨大ダムなどの土建工事現場などで強制労働させられ、主に過労と飢えにより衰弱死(過労死)させられた中国人であり、主要な「犯人」(加害者)は日本の民間営利企業だ。
 このように、中国本土(大陸)では、中国人強制連行・強制労働が原因となり膨大な数の犠牲者が生まれ、万人坑と呼ばれる「人捨て場」に埋められて(捨てられて)いるが、日本で話題にされる中国人強制連行・強制労働のほとんどは、日本国内に連行されてきて花岡鉱山鹿島事業所などで強制労働させられた約四万人の被害者に関することであり、中国本土(大陸)における強制連行・強制労働が日本で話題にされることはほとんどない。
 その中国本土における強制労働の被害者数は、傀儡国家「満州国」をでっちあげ日本が占領支配した東北で一六四〇万人、「満州国」の南側に位置し、アジア太平洋戦争の「戦力の培養補給」の基地だと日本が位置付けた華北では二〇〇〇万人にもなる。また、東北(「満州国」)では、強制労働被害者の八割とか九割が死亡する現場(事業所)が数多く存在していたことも確認されている。
 中国本土におけるこの被害者数は、日本国内に連行されてきた四万人と比べれば正に桁違い(三桁違い!)の膨大な数だが、この重大な史実が日本でほとんど認識されていないのは許されないことであるし、中国人にとっても断じて容認できないことであろう。

「万人坑を知る旅」訪中団
 このような歴史認識を踏まえた上で、中国各地に現存する万人坑を訪ね、強制連行・強制労働を中心に日本の侵略加害の実態を確認するため、関西地方のとある旅行会社に勤める野津加代子さんは「万人坑を知る旅」訪中団を組織し、二〇〇九年から二〇一三年まで毎年中国を訪ね、東北(かつての「満州国」)と華北の各地に現存する万人坑と強制労働現場を確認してきた。
 「万人坑を知る旅」訪中団がこれまでに訪ねたのは、二〇〇九年の第一回が東北の南部に位置する遼寧省、二〇一〇年の第二回は東北の中部に位置する吉林省、二〇一一年の第三回は東北の北部に位置する黒龍江省、二〇一二年の第四回は東北の西部に位置する内蒙古自治区と黒龍江省のロシア(ソ連)国境地帯、二〇一三年の第五回は華北の北部に位置する山西省と河北省と天津市だ。(第一回から第五回までの「万人坑を知る旅」については拙著三冊(注)に紹介しているので参照してほしい。)
 こうして、中国の北側から順に、東北と華北の万人坑と強制労働現場を確認してきた野津加代子さんと「万人坑を知る旅」訪中団が、中国の中央に位置する華中と南側になる華南の実情を確認したいと思うのは自然の成り行きだ。
 そして、二〇一四年に予定する六回目の「万人坑を知る旅」訪中団の訪問先を検討する中で、中国南部に位置する華南を選定し、その華南の中でも最南端に位置する海南島を訪ねることになり、第六回「万人坑を知る旅」が実施された。さらに二〇一六年には、七回目の訪問先として中国の中央部に位置する華中を選定し、華中を西から東に横断して流れる長江の流域を訪ねる第七回「万人坑を知る旅」が実施された。
 「万人坑を知る旅」に関わる四冊目の書籍となる本書では、第六回と第七回の「万人坑を知る旅」について報告する。読者の皆さん! 本書を通して、華南の海南島と華中の長江流域に現存する万人坑と強制労働現場を訪ねる旅を私たちの訪中団といっしょに体験しましょう。

(注)『万人坑を訪ねる‐満州国の万人坑と中国人強制連行』緑風出版
   『日本の中国侵略の現場を歩く‐撫順・南京・ソ満国境の旅』花伝社
   『華北の万人坑と中国人強制連行‐日本の侵略加害の現場を訪ねる』花伝社

(補足)花伝社のウェブサイト(下記)も参照ください。
   『華南と華中の万人坑』の紹介ページ
    ⇒ http://www.kadensha.net/books/2019/201907kanantokahokunomanninkou.html
   出版全点の案内(『華南と華中の万人坑』は二〇一九年八月九日付)
    ⇒ http://www.kadensha.net/


華北の万人坑と中国人強制連行
― 日本の侵略加害の現場を訪ねる ―

著者:青木茂
発行:花伝社 / 発売:共栄書房
初版:二〇一七年八月一五日発売
定価:本体一七〇〇円+税

 現在の日本で話題にされる中国人強制連行・強制労働のほとんどは、アジア太平洋戦争の末期に日本国内(内地)に強制連行されてきた約四万人の中国人に関する強制連行・強制労働のことである。しかし、日本国内に比べると被害規模が桁違い(三桁違い!)に大きい中国本土(大陸)における中国人強制連行・強制労働は日本ではほとんど知られておらず、日本で話題にされることもほとんどないのだと思う。
 その中国本土における強制労働被害者の数は、「満州国」として日本が占領支配した東北(地方)で一六四〇万人、「満州国」と「国境」を接する華北(地方)では二〇〇〇万人にもなり、日本国内に強制連行された四万人(三万八九三五人)と比べれば正に桁違いである。
 さて、中国本土における強制連行・強制労働のうち、東北(「満州国」)の実態については、その一端をこれまでに拙著三冊(注)で紹介してきた。その中で示しているように、「満州国」内の鉱山や土建工事現場などにおける強制連行・強制労働の実態は過酷かつ凄惨で、過労と飢えによる衰弱が主要な原因となり、あらゆる現場(事業所)で多数の強制労働被害者が死亡した。その中には、強制労働被害者の八割とか九割もが死亡する現場(事業所)も数多く存在している。そして、強制労働により死亡した膨大な数の犠牲者の遺体をまとめて捨てた「人捨て場」は、東北各地のいたるところに二一世紀の今も数えきれないほど現存している。その中には、捨てられた犠牲者の数が万の単位になる「人捨て場」も数多く残されていて、それらを含めた「人捨て場」を中国人は万人坑(まんにんこう)と呼んでいる。
 そして本書では、「満州国」として日本に占領支配された東北より被害規模が大きい華北における中国人強制連行・強制労働について初めて紹介する。
 その華北は、アジア太平洋戦争を遂行するための「戦力の培養補給の基地」だと日本が位置付けた地域であり、資源や食料や労働力の供給源と位置付けた華北に対する日本の支配は過酷で、鉱山や土建工事現場などで強制労働を強いられた中国人は二〇〇〇万人にもなる。さらに、華北内で強制労働させられた二〇〇〇万人とは別に、東北など中国各地や日本に一〇〇〇万人が労働力として強制連行されている。そのうち七八〇万人は東北(「満州国」)に連行されている。つまり、「満州国」で強制労働を強いられた一六四〇万人のうち約半数は華北から連行されてきた中国人だ。また、日本国内(内地)に強制連行された三万八九三五人のうち三万五七七八人は華北から連行されてきた中国人だ。
 本書で紹介する華北における強制連行と強制労働の実態は、被害全体から見れば巨大な氷山の一角にもならないが、華北における強制連行・強制労働の一端を少しでも理解してもらえれば有難い。
 さて、華北を占領支配し「戦力の培養補給の基地」とするため、八路軍などの抗日組織と住民を分断することが必要であり、そのため、辺鄙な農村を含む各地に日本軍は部隊を分散配置し、住民に対し苛烈な暴力支配を行なった、その中で、女性に対する性暴力犯罪も横行する。そのような、華北における日本軍の占領支配の実態を具体的に知るため、山西省盂県の性暴力被害者を私は二度訪ねた。その訪中記録を補足編として本書に収録するので、日本軍による華北支配の実態を知るための一つの参考にしていただければと思う。
 それでは、万人坑など華北に現存する日本の侵略加害の現場を訪ねる旅にいっしょにでかけましょう。

(注)『二一世紀の中国の旅‐偽満州国に日本侵略の跡を訪ねる』日本僑報社、二〇〇七年
   『万人坑を訪ねる‐満州国の万人坑と中国人強制連行』緑風出版、二〇一三年
   『日本の中国侵略の現場を歩く‐撫順・南京・ソ満国境の旅』花伝社、二〇一五年

書評:雑誌や新聞に書評が掲載されています。夫々「クリック」して参照してください。
@『不戦』NO.181 = 2017秋冬季号 および 『さようなら! 福沢諭吉』第4号
   評者=遠藤美幸氏(神田外語大学講師)
       ⇒ 遠藤氏書評(docxファイル)
A『アヒンサー』2018年2月23日号
   評者=室田元美氏(ライター)
   (「アヒンサー」とは、サンスクリット語で
    「殺されたくない。殺したくない」という
    意味です。)
       ⇒ 室田氏書評
B『日中友好新聞』2018年2月15日号
   評者=丸山至氏(日中友好協会本部顧問)
       ⇒ 丸山氏書評

(補足)花伝社のウェブサイト(下記)も参照ください。
『華北の万人坑と中国人強制連行』の紹介ページ
  ⇒ http://www.kadensha.net/books/2017/201708kahokunomanninkou.html
 出版全点の案内(『華北の万人坑・・・』は2017年8月15日発売)
  ⇒ http://www.kadensha.net/index.html

『日本の中国侵略の現場を歩く 撫順・南京・ソ満国境の旅』


著者:青木茂
発行:花伝社 / 発売:共栄書房
初版:二〇一五年七月一五日発売
定価:本体一七〇〇円+税

 二〇一五年に日本は「戦後七〇年」を迎える。この「戦後七〇年」が持つ意味はいろいろあるが、日本にとっては、日本が起こした侵略戦争の敗戦から七〇年ということであり、日本の侵略で最も甚大な被害を受けた中国にとっては抗日戦争勝利から七〇年ということだ。そして、戦後七〇年を前に私が知りたいと思ったことは、日本の侵略で筆舌に尽くし難い惨禍を受けた中国が抗日戦争勝利七〇年をどのように迎えようとしているのかということだ。
 そこで私は、日本の侵略で被害を受けた中国のたくさんの町や村を訪ね、惨劇の現場を確認し、被害者や遺族や研究者らから話を聞いた。こうして私が訪ね歩いた現場のうち、撫順と南京とソ満国境(ソ連と「満州国」の国境)の三カ所を取り上げ、「戦後七〇年」を迎えるそれぞれの情況を本書で紹介している。
 それぞれ特徴がある現場のそれぞれの情況の紹介はここでは省略するが、本書で示した事実を基に、「戦後七〇年」を迎えようとしている中国の現状を一言でまとめると、日本の侵略で受けた惨禍に対する被害者の心の傷は癒えておらず、侵略・加害の事実を認めることすら拒み続ける日本に強烈な不信感を持っていると言うことができるだろう。
 このように、日本に対する中国の情況は大変に厳しい。しかし、私たちにとって重要なことは、中国が非難しているのは安倍首相をはじめとする極右・靖国派の「指導者」であり、日本全体を批判しているのではないということだ。日本が起こした侵略戦争の責任は日本軍国主義の「指導者」にあり日本の一般民衆は中国人民と同じように被害者であるという中国指導者の考えは、中国の一般の人々にも広く浸透し徹底している。
 このような情況を理解すれば、今、最悪の状態にある日中関係を改善する希望と期待を私たちは持つことができる。
 こんなことを紹介する本書を、ぜひ手にとって御覧ください。
 詳細は、花伝社のウェブサイト(下記)を参照ください。
  ⇒ http://www.kadensha.net/books/2015/201507chugokushinryaku.html

『万人坑を訪ねる 満州国の万人坑と中国人強制連行』


著者:青木茂
発行:緑風出版
初版:二〇一三年一二月一〇日発売
定価:本体二五〇〇円+税

 二〇〇〇年以降ほぼ毎年私は中国に行き万人坑を訪ねていますが、そのうち最近の四回の訪中・万人坑訪問の記録を収録する本・『万人坑を訪ねる』が二〇一三年一二月一〇日付で緑風出版から刊行されました。この本には、以下に記す万人坑の訪問記録を収録しています。
  遼寧省:阜新炭鉱・北票炭鉱・大石橋マグネサイト鉱山・
      弓長嶺鉄鉱・本渓炭鉱
  吉林省:石人炭鉱・遼源(西安)炭鉱・豊満ダム
  黒龍江省:東寧要塞・鶏西炭鉱・鶴崗炭鉱
  旧熱河省興隆県:蘑茹峪殺人坑・白馬川殺人坑
 併せて、中国東北地方(「満州国」)の万人坑と中国人強制連行の全体像を把握しようと試みる一文も収録しています。
 このホームページに関心を持たれた方は、『万人坑を訪ねる』をぜひ御覧いただき、詳しい事実を確認してみてください。本書に収録した四回の訪中記とまとめの一文を通して、侵略者の日本が中国に残した加害事実としての万人坑と中国人強制連行について、現在を生きる多くの日本の皆さんに理解してもらえれば嬉しいことです。併せて、中国やアジア各国に対する日本の侵略加害の事実を首相の安倍晋三ら歴史改竄主義者が消し去ろうとすることがどれほど罪深いことであるのかを実感していただくことができれば幸いです。

 緑風出版の出版案内は下記を参照ください。
  ⇒ http://www.ryokufu.com/isbn978-4-8461-1323-0n.html


『二一世紀の中国の旅 偽満州国に日本侵略の跡を訪ねる』


著者:青木茂
発行:日本僑報社
初版:二〇〇七年三月二八日発売
定価:本体二五〇〇円+税

 本書では、二〇〇〇年から二〇〇五年までに著者が訪ねた、中国東北地方(「満州国」)に残る、日本による侵略加害の跡を紹介しています。そのうち万人坑については、以下の六カ所の訪問記録を収録しています。
  内蒙古自治区:ハイラル要塞
  遼寧省:大石橋マグネサイト鉱山
  吉林省延吉朝鮮族自治州:老頭溝炭鉱・板石炭鉱
  吉林省:遼源(西安)炭鉱・豊満ダム
 ところで、このうちの四カ所は二〇〇九年以降に再訪しましたが、二〇〇四年以前の状況からはいずれも大きく変化していました。
 ハイラルでは二〇〇八年に、それまではほとんど何も無かった日本軍要塞跡に大規模かつ近代的な記念館(資料館)が建設され、広大な要塞跡が歴史遺跡として整備されました。また、それまでは野ざらしのまま荒れ放題に放置されていた万人坑に巨大な追悼碑(記念碑)が建立され、広大な万人坑は周囲を柵で囲まれ、万人坑を保全するという中国当局の意志が明確に示される状況に変化しています。
 大石橋では二〇〇六年に、万人坑発掘現場を保存していた古い小さな記念館が、大幅に拡張された近代的な記念館に建て替えられ、それまでは無かった資料館も新たに開設されました。
 遼源では二〇〇五年に、遼源鉱工墓(万人坑)が全国規模の愛国教育基地に指定され、巨大で近代的な資料館が新たに開館し、何カ所もの万人坑発掘現場を保存する建物も新たに設営されました。
 豊満では二〇一〇年に、侵略当時の日本人が偽善的に設置した中国人犠牲者「慰霊碑」が松花江河畔の元の場所から万人坑記念館の中庭に移設されるなど、記念館の新たな整備が始まっています。
 老頭溝と板石は再訪していないので最新の状況を承知していませんが、ともかく、再訪した四カ所の万人坑では、いずれも二〇〇五年以降に記念・保存施設の大幅な拡充が実施されています。日本による侵略犯罪を決して忘れないという中国指導者の意志が明確に反映された結果だと思いますが、このような中国の対応に、このところ特別に酷い情況に変化した日本の右傾化・軍事大国化が影響を与えているのは間違いありません。
 二〇〇五年までに私が訪ねた万人坑は、それから一〇年も経たないうちにこのような情況に変化していますが、『偽満州国に日本侵略の跡を訪ねる』では、近代的に改装・整備される前の「素朴」な万人坑を紹介しています。ぜひ、皆さんの手に取っていただき御覧いただければと思います。
 日本僑報社の出版案内は下記を参照ください。
  ⇒ http://duan.jp/item/044.html
 また、下記のウェブサイトも参照してみてください。
  ⇒ http://eritokyo.jp/independent/bookreview-aokishigeru0001.html


『日本軍兵士・近藤一 忘れえぬ戦争を生きる』


著者:青木茂
発行:風媒社
初版:二〇〇六年三月一日発売
定価:本体二一〇〇円+税

 一九二〇年に生まれ、幼いころから軍国日本の侵略思想をたたき込まれた近藤一(はじめ)さんは、日本軍兵士として中国山西省で三年八カ月にわたり中国軍民に対し暴虐の限りを尽くしました。その後、所属部隊と共に転進した沖縄では、日本軍の最前線に配置され、圧倒的な軍事力を持つアメリカ軍に徹底的にたたきのめされました。
 中国に対する侵略戦争と沖縄戦を日本軍兵士として体験した近藤さんは、一九八〇年代から自らの体験をありのままに語り始めました。その近藤さんの話の主な論点は二つです。一つは、決して許されない、また繰り返してはならない日本による中国侵略の惨状です。もう一つは、沖縄戦の悲惨な実情です。
 近藤さんはあちこちに招かれ、九〇歳台半ばまで現役の語り部として自らの体験を語り続けられました。そんな近藤さんの生きざまを記録したのが本書です。近藤さんの体験と、二度と侵略をしてはならないという近藤さんの想いをぜひ御覧になってください。
 風媒社の出版案内は下記を参照ください。
  ⇒ http://www.fubaisha.com/search.cgi?mode=close_up&isbn=0532-2